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ヴィターレ・ドルフィン ナーロ

第68代ヴェネツィア共和国ドージェ(元首)ヴィターレ・ドルフィン ナーロは、
ヴェローナとトレヴィザーノで同時に発生した大規模な暴動の鎮圧中に死亡した
第67代ドージェ アゴスティノ・コンタリーニ アルドブランディーニの後継選挙にて、
1450年12月に当選しドージェに就任した。

ナーロは1471年に病死するまで長期にわたってドージェを務めたため、
その在任期間中に行った政策は多い。

どの国策を選ぶべきか

1453年5月、十人委員会は新しく追加する「国策」としてなにを選ぶべきか
について、激しい議論が繰り広げられていた。

「我が国は貿易立国だ。通商政策こそ国の要。
『統一的貿易方針』(交易効率+10%)か『合理的商慣行』(競争力+10%)を
選ぶべきだ。」
「派遣可能な全貿易中心地に商人がいて、しかも国庫に金が余っている状態で、
そんな政策をとってなんの意味がある。」
「軍隊を養える資金が増えるではないか。」
「陸軍部隊上限値まで常備軍を拡張しているのにか。
それより10,000人しかいない予備役(=人的資源)をどうにかすべきだろう。
『国民皆兵制』を導入すべきだ。」
「海軍兵力は全然増強してないじゃないか。
我が国は海洋立国なのだから海軍増強は重要だし、金も要るだろうが。」

すると一人の委員が言った。
「我が国のような小国では軍隊にいくら投資しても焼け石に水。
ここは『新世界の探索』(探検家と征服者の登用。植民地化範囲+50%)を採用し、
国庫に積みあがっている資金を有効活用して、
新たなビジネスチャンスを見出してはどうだろうか。」

このアイデアは素晴らしく良いように思えた。
十人委員会はすぐさま『新世界の探索』の有用性を検討した。
しかし、調査の結果、「国策」採用後でも植民地可能範囲はジブラルタル海峡までしか
広がらないことが判明し、この案の採用は見送られた。

「なかなかうまくいかないものだ。はて・・・」
ため息をつく委員を前に、ナーロは言った。

「ここは『国民皆兵制』を採用してみないか。
我が国の通商政策にいまのところ特に支障がないのであれば、陸軍政策に少しでも梃入れし、
オスマン帝国からの脅威に備えようではないか。」

こうして『国民皆兵制』の導入が決定された。

印刷業の育成

1445年頃、ドイツのマインツでヨハネス・グーテンベルグが発明した活版印刷技術は
1460年までにはヴェネツィアにも伝えられていた。
これまで本といえば全て人の手による写本しかなかったので、
この時代、本は大変な貴重品であった。
このため素早く複写できる印刷技術は、非常に画期的なものであった。

しかし、カトリック教会は「悪魔の道具」だとして、印刷機が普及するのを嫌っていた。
聖書が安価に手に入るようになり、聖書を読むことができる人々が増えると、
カトリックの教義に疑問を抱く者が増えるのではないかと恐れたのだ。

「ドージェ、我が国で『印刷業の育成』を施政方針に取り入れるべきです。」
1461年1月、側近はナーロにそう進言した。

「パトヴァやフェッラーラの貧乏学生どもは、書籍を必要としておりますが、
手書きの写本では高すぎてとても手が出ません。
活版印刷技術を用いて大量に本を刷れば安く販売できますので、
購読層の大幅な拡大につながります。
我が国には大図書館もあり、著作物にはことかきませんから、
新たな産業の育成につながりましょう。」

「それはいい案だが、欠けているものがある。」
「は、なにがでございますか?」
「人間というのはだな、堅苦しいばかりでは息ができんのだよ。」
「はあ。」
「著作物にあれも加えるのだ。」
「あれ、とはなんでございますか。」
「分からん奴だ。」
「そう言われましてもなんのことやら・・・」
「(小声で)だからピンクな本を大量に印刷すれば、うはうはだと言っておるのじゃ!」
「・・・・」

【印刷屋さん】

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この政策のおかげで、これまで本といえば重くて立派な装飾本しかなかったのが、
文庫本サイズの手軽に持ち歩ける本がたくさん出回るようになった。
ヴェネツィアには、言論統制もなかったので他国では出版できないような内容(?)も
自由に出すことができ、しかも発行部数が多かったので、
ヴェネツィアから発行される本は多くなった。
こうして他国にはない「出版業」が栄えたことにより、生産技術への寄与は毎月+15となった。

だが、この政策は後の時代の政策に大きな影響を与えることになる。
ナーロは、この政策が後世の人々の悩みの種になろうとは、想像もしていない。

≪作者注釈:印刷業の育成≫
 ヴェネツィア特有の施政方針。
 採用には「革新主義4」が必要。
 「生産技術が毎月+15」の効果がある。

その他の政策

1466年、ナーロは『度量衡の統一』を決定した。
貿易国家にとって、秤が統一されていることは商取引上非常に有効であったから、
人々は大いに喜んだ。

また、彼の功績としては、『郵便局の設置』『スタト・ダ・マルの制定』があるが、
この2つの政策は「フリウリ征服戦争」と大きく関係のあることなので、説明は次話に譲ることにする。

No.11 テッラ・フェルマー動かぬ地(1446年6月6日-7日)」にもどる
アドリア海の女王」にもどる


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